ペルソナ話

ロケハンに行ったのは1月。
日光の山の上は大雪。
既に完成していたシナリオ第1稿には「雪」なんて一言も書かれていなかった。
革靴はいてたんで雪上で転びまくったのはワタシです。
「こんなの、シナリオに書いてないよ!」って叫びながら雪の上をズルズル。
現地の人に聞くと「この雪は3月頃まで残るよ」とのこと。
だから、シナリオに雪の場面を書き足したわけです。

ところが、3月の頭に撮影で現場に行くと・・・、
雪は無かった!全然なかった!現地の人の嘘つき!(どうやら異常気象だったらしい)

どうなる『PERSONA』って感じで次回へ。

美学

某所での、山崎真実インタビューを読んでいたら、
「私は根性や努力を、あまり全面的に出したくないんです」
という一行があって、大笑いしてしまう。

まさにその通りだからです。
頑張り屋なんだけど、自分が頑張ってるところとかは絶対に見せない。辛いに決まってるのに、辛そうな顔とかしないのな。
そういう意味では手強いというか、最初は中々読めなかったですね。
普段の口調が、ぽぉーっとして「はい、大丈夫です」みたいな感じだから、何を考えてんだか掴みにくいところがある。もっと泣き言を言ってもいいのに、まあ言わない。絶対言わない。

ただ、本人のそういう気持ちはわかります。
根性の現れですからね、カッコいいじゃないか山崎。

続いて、こんなことを行ってます。
「だから、ヤル気がなさそうに見えるのかもしれませんが、やってなさそうに見えて、できる方がカッコいいじゃないですか(笑)」
やっぱり大阪人やねえ。
本当は辛くても「こんなん楽勝でんがな」とカッコつけたいという、大阪的な美学を感じる。

どこがどう辛かったかは、また今度。

『ペルソナ』がSFなわけ

主演の山崎真実ちゃんが新体操出身で、しかも国体出場経験がるってのは先に聞いていました。
アクション監督の谷垣さんは、世界をまたにかけて活躍している超実力派。
この二人と一緒に作品を作るとしたら、いったい何が出来るだろう?そこがスタートでしたね。

ワタシはワタシで、己の得意分野を出すべきだろう、そう考えたらSFになったわけですよ。ドーン!
タイトなスケジュールになるのはわかってたし(ワタシ以外は皆忙しいからね)大掛かりなCGも使えない。
でもまあアイデアで勝負すれば、面白いものになるはずだ!ってな感じで、鼻息荒くお話を考えました。
SFっていうのは、特撮の凄さなんかより、本来アイデアの面白さなんですのよ。
ワタシは映画の人ですけど、元々活字SFが好きなので、CGに頼らないSFってのはやりたかった。

それで、ちょっと悲しさとか切なさが出せれば成功なんじゃないかと。

それと、アクション映画の主人公ってのは、当然アクションができるわけですが、なんでその人は凄いアクションができて強いのか?
これは大体、三つのパターンに分けられます。

1、元から強い、武道の達人とか。(代表例はもちろん「燃えよドラゴン」)
2、修行を受けて強くなる。(これは「酔拳」とか、いっぱいあります)
3、何らかの、非現実的な理由で強くなる。(「仮面ライダー」なら改造されて、「マトリックス」なんかも修行はあるけど、この部類。最近だと「カンフーハッスル」なんか)

SFだと3のパターンが使えるんですね、これは幾らでも想像力が膨らむ世界です。

公開が近づいてきたので、映画の話は続きます。
とはいえお腹がすいたので、ちょっとネギでも刻もうかな。

白菜の活躍

でまあ、白菜の分厚い部分を、ダイスカットっていうんですか。
ベジタブルミックスに入ってるニンジンみたいに切ります。
これは割と新しいアプローチなんじゃないかと。先っちょの柔らかい葉っぱの部分はお鍋に入れてね。
忘れてたけど、用意するものは豚コマ、もしくは小さめに切った鳥肉。
それから中華のトリガラスープですね。
ニンニクがあってもいいな。
で、フライパンを熱して、あればニンニク、そして豚もしくは鳥を炒めます。
時間差で白菜投入、軽く塩コショウして炒めます。
ここで何がしたいかというと、白菜に軽く焦げ目をつけたいんですね。
あんまり見ないでしょ、焦げ目のある白菜。でもこれが悪くないんだな。
そこへトリガラスープを流し込む。
顆粒のやつなら水かお湯を加えてから、ざっと振りましょうか。
煮えたら出来上がり。気が向いたら片栗粉でとろみをつけてもいいなあ。
あまり煮込みません。白菜の歯応えを味わいたいから。
これでも、スープの中に白菜のお味はちゃんとついてます。

これオリーブオイルとコンソメで、洋風でもいけますよ。
白菜もたまには洋風で活躍してもらいたいし、それはそれでお勧め。

出来上がった温かいスープをすすりながら思い出すのは、
やっぱり寒い時期に撮った「ペルソナ」っていう映画のことなんですね。
(ほら、ちゃんと映画に繋がった)

冬は白菜

というわけで白菜スープ。
白菜って漬物鍋物炒め物で活躍する万能選手ですよね。どこ行っても大活躍だ。
でも、切り方はそんなに変らないんですよね。どこ行ってもぞんざいなカット。
だからちょっと考えてみたわけですよ、白菜をどう切るか、それで世界が変るかもしれない!きゃあ!

話は逸れるようだけど、白菜の堅くて分厚い部分をヤサイスティックにして喰うとウマイのね。
マヨネーズでもいいけど、梅肉系ソースでもあう。シャキシャキした食感と、噛んだときにあふれ出る水の旨さ。
そんなんですよね、野菜の美味しさって、その中に含まれる水の旨さでもあるんですよね。

白菜の煮物は美味しい。確かに美味しいけどね、煮込むとあの食感、シャキシャキはなくなるでしょ?
あれが不満だったんです。だから色々と考えてきました。白菜の扱いが一番上手なのは中華料理でしょうね。
八宝菜でも白菜の歯応えを残して旨味を活かす。先人の知恵ってのは偉大ですよまったく。

というわけで、ぐだぐだ書いてたもんで、白菜スープのレシピはまた明日。
え?映画の話?ペルソナの話はどうしたって?
それもちゃんと書きますよ!
白菜を語れば、いつしか映画に繋がってくるはずなんです。(んなこたぁない)

映画を語ろう!

いやね、もういきなり怒られたわけですよお友達に。
「お前のブログを見たが、なんで天津飯やねん。映画監督なんやから少しは映画の話でもしたれや、この腐れ外道めが」
ってもうブログ始めて二日で説教食らっちゃいましたよ正座させられて2時間も延々と(かなり嘘)

でも、お友達の言うとおりなんですね、ワタシは映画の監督をやっておる者なので、やっぱり映画の話をすべきなんですよね。

初めてのブログなんで緊張して、つい天津飯の話から始めちゃったわけですが、今回からは心を入れ替えて映画の話をしようと思います。
せっかく新作も撮ったことだし。
そうなんですよ、今年は新作を撮ったんですね久しぶりに。
『ペルソナ』っていいまして、来年1月から(もう来月だ)六本木シネマートを皮切りに全国でロードショー!って書くと、なんか本当に映画監督みたいですね。いや本当なんだけど。

『ペルソナ』の企画書を書いたのは去年の11月。それから12月にかけてシナリオを書いたんです。
もう1年も前のことになるんだなあ。
毎日、少しづつシナリオを書いていって、作業が進むにつれて寒くなっていったのを思い出します。(撮影現場はもっと寒かったんですけど)
けっこうハードなスケジュールだったけど、ワタシは割と冬が好きなんですよね。だから、それなりに楽しんで書きました。
冬は書き物には適した季節です。夏だとほら、遊びに行っちゃうでしょ、サーフィンとか浜辺での金髪ギャルとのセックスとかで忙しいし。(嘘ですよ)

何よりも冬は白菜が美味しい。

冬が何故寒いか知ってますか?
それはね、白菜を美味しく食べるためなんですね。(あと大根)

というわけで、次回は「白菜の簡単スープ」のレシピを紹介したいと思います。
これがもう、ホントに美味しいんだから!

テンハンリャンガー

今日はちょっとテレビなどに出てきまして、
もしも来年の1月21日の夜に埼玉方面でテレビをつけたら、人相の悪いオッサンが映るかも知れませんがそれはワタシである可能性が高いです。(カットされたりしてな)

まあそれは置いといて天津飯ですよ天津飯
関東と関西でソバうどんの味、特に出汁の味が違うというのは有名ですが、他にも西と東で味の違う食べ物は色々あって、天津飯もその一つなんですね。
どこが違うかというと、東京で食べる天津飯は玉子焼きの上にかけられた餡が甘酸っぱくて、初恋の思い出でもないのにもう甘酸っぱくて、東京初天津飯の際に大阪育ちのワタシは相当驚いたわけですよ。
何故なら大阪の天津飯は甘くないから。
関西にいるときは何百回となく食べた天津飯だけど、甘いのは一つもなかった。
それにしても甘味の有無というのは大きいですよ。食べたときの印象が全然違うもんね。見た目はほぼ同じなのに別の料理かと思いますよマジで。蕎麦とうどんの違いより大きいんじゃないかと思いました。

この違いはなんなんでしょう。

天津飯のルーツと思しき芙蓉蟹という料理があります、昨日も書いたけど要は蟹タマ餡かけ。で、これは甘い。甘酸っぱい。まるで初恋のように。(もういいってば)
ということは、東京の天津飯(関東では天津丼と表記する場合が多いようですが)は、芙蓉蟹を丼に乗っけただけのレシピと考えてもいいのかもしれません。
で、関西地方の天津飯はというと「芙蓉蟹乗せるのはええけど、そのまんまでは芸がないやろ」というような理由でもって幾許かのアレンジが加えられたのかもしれない。
この推理はそんなに的外れだは思わないんですが、それでも謎は残ります。
上の仮説を採用すると、東京の甘い天津飯の方が先に誕生した可能性が高くなりますね。でもそうとばかりも言い切れないでしょう。これはもっと調べてみないと。

結局、天津飯というそれなりにポピュラーな料理がいつどこで生まれ、どのように広まったかはわからないままなんですね。少なくともネット上には天津飯に関する詳しい文献はないようだし、書物でも見たことはありません(ワタシが知らないだけかも知れません)
他の地方における天津飯の状況なんてのも知らないんですね実は。何にも知らないんだなワタシは。

それで、こういうことを考えていると、結局は日本における中華料理、中国料理の伝播とか普及という巨大なる問題にぶち当たってしまうわけです。

これに関してはまた深く考えてみたいと思います。